Introduction
釜山・金井山(クムジョンサン)のふもとにある静かで風情ある「山城(サンソン)マウル」には、まるで時が止まったかのような、特別な陶芸工房があります。そこが、韓国伝統の**粉青沙器(분청사기/ブンチョンサギ)**を継承してきた家族経営の工房、**山城陶芸(산성도예/サンソンドヨ)**です。
ここは、土と火が生み出す芸術が今も息づく場所。二代にわたり陶磁器の伝統を守り続けてきた、まさに“生きた文化財”とも言える存在です。
山城陶芸は、初代陶芸家の李相文(イ・サンムン)名匠と、彼の三人の息子たちによって運営されています。その中でも次男の李承敏(イ・スンミン)作家は、韓国国内外の展示会や工芸大会で活躍してきました。
李承敏氏は2018年に「大韓民国優秀技能者」に選出され、2020年には「釜山市工芸名匠」の称号を受けた実力派の陶芸家でもあります。親子三代にわたる技と感性が工房の中に脈々と息づいており、伝統的な手法を大切にしながらも、現代的な美意識を取り入れた作品を数多く制作しています。
この工房の主な作品は、朝鮮時代初期に発展した**粉青沙器(ブンチョンサギ)**です。素地の上に白化粧土を施し、掻き落とし、刷毛目、象嵌(ぞうがん)などの技法で装飾された韓国特有の陶磁器様式です。
山城陶芸では、すべての作品を一つ一つ手作業で制作し、**伝統的な薪窯(まきがま/흙가마)**で焼成しています。作品には、茶器セット(다기세트)、茶碗(찻사발/チャバル)、食器類、生活陶器など、幅広いジャンルが揃い、素朴で温かみのある質感が心を癒してくれます。
山城陶芸は、単なる陶芸工房ではありません。韓国陶磁器の精髄を今に伝える、**“生きた文化空間”**です。釜山で静かな一日を過ごしたい時には、金井山の散策とともに、ぜひこの工房を訪れてみてください。
土の匂い、薪窯の熱、そして作家たちの真心に触れながら、日常に小さな感動を持ち帰ることができるでしょう。
釜山・金井山のふもとにある山城陶芸は、粉青沙器(ブンチョンサギ)を専門とする伝統陶芸工房です。初代の李相文(イ・サンムン)名匠と、二代目の李承敏(イ・スンミン)氏を含む三兄弟によって運営されています。すべて手作業で制作され、伝統的な薪窯で焼成された茶器や茶碗、日常使いの器などを展開しています。職人技と現代感覚が融合したこの工房は、韓国陶磁器の伝統を今に伝える“生きた文化空間”です。
2020年釜山工芸名匠選定